印象だけに頼らず、子どもの適応状況を書き留める
「最近、学校に行きたがらなくなった気がする」。こうした印象をもとに判断するのは困難です。それが二週間続いているのか、たまたまこの三日間のことなのかが分からないからです。そしてこの違いは重要です。
なぜ印象では足りないのか
人の記憶は、直近に起きたことに左右されます。子どもが二日続けて不機嫌だと、ずっと調子が悪かったように感じます。今日うれしそうにしていれば、その前の二週間の落ち込みは薄れてしまいます。
そして適応は波のある過程で、大切なのはその日一日の状態ではなく、方向です。方向は、ある程度の期間の記録があって初めて見えてきます。
何を記録するか
推測ではなく、事実を記録します。「今日は朝ごはんを食べたがらなかった」は事実で、「不安が強いようだ」は推測です。前者はあとから解釈し直せますが、後者はできません。
- 睡眠:寝ついた時刻、途中で起きたかどうか、朝起こして起きられたかどうか
- 食欲と体調:どのくらい食べたか、どこか具合が悪いと言っていないか
- 登校への気持ち:嫌がったか、普通に家を出たか
- 本人が自分から話したこと:クラスメート、先生、ある授業のことを話したかどうか
- 感情がはっきり表れた日:何が起きたか、本人がどう話したか
- よいサインも記録する:友だちができた、何かに興味を持った、自分から何かを話した
続けられる記録の仕方
一日一、二行で十分です。スマートフォンのメモ、カレンダー、紙のどれでもかまいません。大切なのは手間がかからないことです。面倒すぎる方法は二週間ともちません。
毎日書く必要もありません。変化のあった日に書き、穏やかだった日は空白にします。空白そのものも情報です。
記録は使うためのもの
この記録には実際的な使い道が二つあります。一つ目は、先生と話すときに、「この三週間で、朝はっきり嫌がった日が五日あり、月曜と木曜に集中しています」と言えることです。「最近あまり学校に行きたがらない」よりはるかに役立ち、先生はそれをもとに、その二日の時間割を確認できます。
二つ目は、専門家に相談すると決めた場合です。具体的な観察記録があれば、相手は思い出すことに時間を使わずに、より早く状況をつかめます。
波があるのは普通で、大切なのは方向
適応は一直線には進みません。新学期の新鮮な時期のあとには落ち込む時期がよくあり、休みの前後や学期の変わり目にも揺れやすくなります。ある一週間だけを見ると判断を誤りがちです。
そのため記録を見るときは、数週間の全体の流れと、悪い方向へ進み続けていないかを見ます。書き留めておく理由もここにあります。必要なのは、あとから振り返って見られるものだからです。
記録から方向が見えたあとにできること
記録そのものが物事を解決するわけではありません。その役目は、いつ何をすべきかを教えてくれることです。方向が見えたら、たいてい具体的な次の一歩がいくつかあります。
以下の各記事は、それぞれその一歩にあたります。
- 当サイトには、30日目に先生へ短いフォローアップの連絡をすることについての別の記事があります。
- 当サイトには、成績だけでなく、授業中の子どもの実際の参加状況を確認することについての別の記事があります。
- 当サイトには、子どもが学校の外で少なくとも一つ、友だちとのつながりを持てるようにすることについての別の記事があります。
- 当サイトには、言葉に頼らずに参加できる活動に子どもを参加させることについての別の記事があります。
- 当サイトには、ほかのことがまだ変わり続けているので、登校前と下校後の生活リズムを固定することについての別の記事があります。
この記事の範囲
この記事で扱うのは、観察と記録の方法です。医療、心理、教育に関する専門的な助言を提供するものではなく、判断の基準や指標を挙げるものでもありません。子どもの状況に不安がある場合は、資格のある専門家やスクールカウンセラーに相談するか、先生と話し合ってください。
ポイント
「最近、学校に行きたがらなくなった気がする」をもとに判断するのは困難です。二週間なのか三日なのかが分からないからです。毎日一、二行、睡眠、食欲、誰の話をしたか、登校への態度を記録します。波があるのは普通で、見るのは方向です。方向が見えて初めて、先生と話せる材料ができます。