家庭で母語を手放さないリズムをつくる
到着後に家庭で最もよく下される決定のひとつが、「家でも英語で話し始める」というものです。動機は理解できますが、この決定の代償は過小評価されがちで、得られるものは過大評価されがちです。
まず、家庭という場の役割をよく考える
子どもは学校ですでに一日中、英語の環境に身を置いています。そこは練習の場であり、踏ん張らなければならない場でもあります。家に帰っても同じく英語だと、自分を十分に表現できる場がどこにもなくなってしまいます。
そして、到着したばかりの子どもに最も必要なのは、多くの場合まさにその場です。今日何があったのか、どこがつらいのか、どこで悔しい思いをしたのかをきちんと話せる場です。まだ使い慣れていない言語では、こうしたことの大半は言葉にできません。
母語は英語の競争相手ではない
多くの保護者は直感的に、2つの言語が時間を奪い合っているのだから、どちらかを犠牲にしなければならないと考えます。しかし実際には、子どもが学校で英語に触れる時間は、もともと家庭での時間よりはるかに長いのです。家庭での数時間の母語が、英語の上達を妨げているわけではありません。
そして、母語はいったん途切れると、取り戻す難しさは維持する難しさよりはるかに大きくなります。これは釣り合いの取れていない選択です。維持するコストは低く、失ったあとのコストは高いのです。
ルールよりリズムのほうが使いやすい
「家では必ず母語で話す」といったルールは、たいてい長続きしません。子どもが学校のことを英語で考えるのに慣れ始めると、厳格な決まりは摩擦のもとになるからです。より現実的なのは、決まった場面をいくつかつくることです。
- 食事のときは母語でおしゃべりする
- 寝る前のひととき。読んでも話してもよい
- 毎週決まって一度、母国の家族と通話する
- 母語の動画を1本見る、または音楽を聴く
- 今日学んだことをひとつ、子どもに教えてもらう。母語で話してもらう
混ぜて話してもかまわない
子どもが話の途中で英語に切り替えたり、母語の文に英語の単語を挟んだりするのは、ごく普通の過程です。毎回直す必要はありません。頻繁に直していると、たいてい子どもはいっそ話さなくなります。
より役に立つのは、その単語を母語でさりげなくもう一度言い、そのまま会話を続けることです。大事なのは、正しく話すことではなく、子どもが口を開こうと思えることです。
母語を人と結びつける
母語がただの「親に言われた宿題」であれば、続けるのは難しいでしょう。しかし、祖父母、いとこ、母国の友だちといった具体的な人とつながっていれば、母語を使うそれなりの理由が生まれます。
ですから、決まった通話、手紙、ビデオ通話は、どんな練習方法よりも効果があることが多いのです。子どもが母語を保つのは、これからも話し続けたい人たちのためです。当サイトには、学校が提供する英語サポートの形式を把握することについての別の記事があります。
この記事の範囲
この記事が提供するのは、家庭生活の組み立てに関する一般的な参考情報であり、教育、言語療法、心理面の専門的な助言にはあたりません。子どもの言語発達について具体的な懸念がある場合は、資格のある専門職に相談するか、学校と話し合ってください。
ポイント
家庭という場の役割は、深く、最後まで話せることであり、それには最も流暢に使える言語が必要です。母語は英語の競争相手ではありません。ルールではなくリズムを使いましょう。決まったいくつかの時間帯のほうが、「家では母語しか話してはいけない」より続けやすくなります。混ぜて話してもかまいません。